東京都公立高等学校退職校長会

退職校長会 会長挨拶

柿 添 賢 之

3年に亘る新型コロナウイルス感染症のパンデミックもようやくその勢いが弱まり、社会活動も平常時の勢いを取り戻しつつあります。学校現場においても徐々に活気が戻り、全国高等学校総合体育大会をはじめとする文化・スポーツの成果発表も観客のもとで実施されるようになりました。生徒にとって大きな励みになっていることと嬉しく思います。

一方、気候変動の影響は大きく、豪雪、豪雨、酷暑による甚大な被害が全国で相次いでいます。また、昨年2月に勃発したロシアのウクライナ軍事侵攻はエネルギーや食糧供給など、国民生活に影響が出始めています。特にウクライナ軍事侵攻は長く続いた平和に暗い影を落とし、新たな冷戦の到来やさらには核戦争、第三次世界戦争の勃発も懸念され、近隣諸国との間にも緊張が生まれています。私を含め会員の多くが、幸いにも戦争のない平和で豊かな時代を生きてきました。後に続く世代のためにも、70年以上続いた平和な社会を、何としても守り抜いていきたいものと強く願うところです。

さて私ですが、コロナ禍の令和2年、書面による総会で会長にご推挙いただいてから三年が経過いたしました。この間、会員各位のご理解、ご協力により、大過なく今日を迎えましたが、「会員相互の親睦」「会員間の研修」「教育界・現役校長への支援」といった本会の目的を十分に果たせず、忸怩たる思いをいたしております。今後、本来の活動を取り戻すべく努めて参りたいと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

令和5年度総会は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行を受け、会場開催を模索いたしましたが、慎重を期して残念ながら書面開催させていただきました。そこでは、令和4年度会務報告及び決算報告の承認、さらに、新役員人事及び令和5年度事業計画と予算の承認をいただきました。諸事業の完全実施を実現できるよう努めて参りますので、会員の皆様のご理解ご支援をよろしくお願いいたします。

 さて、都立高校は「都立高校改革」により再生を果たして早や20数年が経過しました。「現状は如何に?」、改めて評価する時期が来ているかと思います。特に「学校運営の適正化」のもとに実施された多くの制度改革が適正に機能しているか懸念されるところです。学校経営におけるPDCAサイクルは好循環しているか、校長と教員との双方向性並びに教育委員会と学校現場との双方向性は維持されているかなど、危うさを感じているところです。校長会の一層の結束と東京都教育委員会との連携、協力を願ってやみません。退職校長会としましても、関心をもって見守り、何か応援できることがあれば尽力していきたいと考えています。会員の皆様におかれましては、是非ともご意見や情報をお寄せいただきますようお願いいたします。

 結びになりますが、会員各位の益々のご健勝を心からお祈りし、会長の挨拶とさせていただきます。