東京都公立高等学校退職校長会

退職校長会 会長挨拶

閏 間 征 憲

第四十二回定期総会が令和七年六月三十日に開催されました。議事では、令和6年度会務報告及び決算報告の承認、さらに、新役員人事及び令和7年度事業計画と予算のご承認をいただきました。議事に引き続き、「記念講演」は都立戸山高校長をご退職後、東京学芸大学附属高校長に就任した大野弘様に「都立高校と国立大学附属高校―組織マネジメントの視点から―」の演題で講演していただきました。第四十二回定期総会の内容につきましては「退職校長会記念誌第十三号」に掲載する予定です。

さて、令和六年度に実施した事業の取組や令和七年度の事業の取組の方向性について、主たる内容を紹介します。令和六年度に会長職に就いた私は、「会員相互の親睦」「会員間の研修」「教育界・現役校長への支援」の三方針を打ち立て、こうした事業の取組を組織を挙げて実施してまいりました。特に意を砕いた取組としては、特別委員会(校長支援プロジェクトチーム)の立ち上げがあります。特別委員会では、高校訪問を通して見えてきた現役校長が抱える課題の洗い出し、全校長対象のアンケート調査項目の検討、アンケート実施とその結果のとりまとめなどを行いました。また、今日の時代にあった退職校長会業務の見直しを行い、その一環で、本会の会則を変更いたしました。

令和七年度については、令和六年度の三方針を継続するとともに、特別委員会を継続設置して、現役校長支援の具体策をまとめ、東京都教育委員会に協力等を要請する予定です。さらには、昨今の都立高校現場の実態をより深く理解するために、改編対象となった学校などを訪問する予定です。また、会員数は減少傾向にあり、財政問題は特に深刻なことから、経費削減に取り組み、業務の見直しにも着手いたします。

こうした中、東京都教育委員会は、令和7年度より、「次世代の学びの基盤プロジェクト」(副題「新たな教育のスタイル」)を開始しました。この目的は、予測困難な時代の中で、社会の変化に柔軟に対応し、これからの時代を生き抜く力を身に付けた人材の育成が教育の役割と捉え、高等学校における学びのあり方を変えるものです。すべての学校でひとりひとりの生徒の興味関心や適性に対応する「新たな教育のスタイル」を確立するための教育改革です。教育改革は重要です、しかし、言うまでもなく、教育改革は学校現場無視では成し遂げることはできません。新たな教育のスタイルの確立は、ともすると、学校現場にとって、ますます厳しく困難な状況を作り出すことにもなりかねません。学校現場のトップを預かる校長が、東京都教育委員会の施策に沿いながらも、自らが思う学校経営ができる環境を実現しなければなりません。そのような環境の実現のために、我々「退職校長会」が学校現場、現役校長を支援してまいります。また、東京都教育施策大綱に、「誰一人取り残さず、すべての子供が将来の希望を持って、自ら伸び、育つ」という目標があります。この目標の実現のためにも、東京都教育委員会と現役校長会が「Win-Win」の関係を構築するとともに、生徒がよりよく生きる学校、教員が夢ややりがいを持てる学校を校長がつくることができるよう支援してまいります。

退職校長会の目標は「会員相互の親睦」「東京都公立高等学校の教育振興」です。この実現に向け、私たち「退職校長会」は組織力を生かし、活動してまいります。歴代の役員・委員の方々が熱き情熱を注いで築き、運営してこられた東京都公立高等学校退職校長会をしっかりと受け継ぎ、発展させてまいります。会員の皆様におかれましては、是非ともご意見や情報をお寄せいただきますようお願いいたします。結びになりますが、会員の皆様のご健勝とご活躍を心からお祈りし、会長の挨拶とさせていただきます。